ご遺族の周囲にいる人ができること

はじめに

ここでは、ご遺族の周囲におられる方が、ご遺族の支えになりたいと思う時に心がけたいことを記しています。

人に打ち明けることの大変さに配慮する

これまでも戦争や災害、犯罪など大きなストレス体験をされた方たちの中には、その事実をずっとひっそりと抱えている人がたくさんいます。過酷な体験をされた方の中には、話すことで直面する苦痛をかわすためであるとか、周囲の差別を避けるために、長い間黙っている人も少なくありません。
周囲にいる者としては死別そのものの話題を持ち出すよりも、相手が話してくれたときにはしっかり耳を傾けるという控えめな態度が求められるでしょう。

ともに歩む視点を大事に

たくさんの遺族の方々が周りから傷つけられる対応や、してほしくなかったこととして、「『あなたの気持ちはわかる』と安易に言われる」、「他の人の経験と比較して『あなたの方がまし』と言われる」、「無理に納得させようとする」などが挙げられています。
無理な励まし(例:あなたは強いのね、きっと天国で亡くなった人は安心しているはず・・等)はやめて、隣人として、言葉は多くなくてもよいので、寄り添って聞く態度で接することが大事です。

話したい時に耳を傾ける

これは物理的にというより、心理的に「だれかとつながっている」気持ちを持っていてもらえることを目指しています。季節のたよりやメールを送ることで気遣いが伝わることがあるでしょう。根本の悲しみは一生変わらないけれども、わかってくれる人にはいつでも話せる安心感があることで、孤独ではない状態がつづくことを念頭におくとよいかもしれません。

長い目でみる

悲しみの波動は、時を超えて強くなったり、思いもかけない時に小さくなったりします。似たような喪失を経験するときに、思い出される悲しみというものもあります。
ゆっくり、自分のペースを大事に普通の生活をしていくことを周りが支えるということが必要でしょう。

その人の回復のあり方を尊重する

悲しみをどうやって持ちこたえていくかは、人によってさまざまな方法があります。多くの人と心情を分かち合い、新たな悲しみを持つ人を支えていきたいと願う人は自助グループなどの社会に向けた活動をされるでしょうし、音楽や絵画などの芸術、ブログなど自己表現をすることを望む人もいるでしょう。
一方、対外的には何もしないけど、亡くなった人を胸に穏やかに毎日を過ごすという人もいます。そのどれもが、つらさをじっくり和らげていく大事な道筋だといえます。
過剰な飲酒や働き過ぎなど健康を害することでなければ、その人の方法を尊重することも大事なことだと思います。

特別な支援が必要なときを知っておく

死別後にある一定の時期に、自分の悲しみに向き合って亡くなった人のことを考えることができればよいのですが、なんらかの事情でそうしたことができない場合、死別後何年たっても生々しい悲嘆の感情は残ったままになってしまいます。耐えきれない苦痛から解放されたいとか、この世よりももっとよいあの世で故人と一緒になりたいと思うような場合(参照)には、専門的な心理療法や精神科治療を考えることも選択肢のひとつです。

(初出:2011年「成子坂通信」より一部要約改変)

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