悲嘆とは?

大切な方との死別後におきる悲しみの後遺症

愛する人を喪う悲しみは世界共通であり、人間に備わった自然な感情です。
「悲嘆(グリーフ)」とは、自分にとって大切な人や物を喪った後に一定の期間続くさまざまな心と身体の反応です。

たとえば・・

  • ショックのあまり亡くなった現実を受け止められない
  • 亡くなった方が生きているかのようにふるまう
  • 遺品を整理できない
  • 街中で似たような人の面影を追いかけてしまう
  • 亡くなった人や自分に対する怒りや憎しみ
  • 自分を責める気持ち
  • 将来への不安 ・・・

などがあります。

悲嘆の現れ方はさまざま

人によって悲しみの表出はちがっています。
悲しみや怒りなどの激しい感情に翻弄され、人づきあいや仕事などの社会生活から一時的に引きこもってしまうこともあります。

その人がいない現実から目をそらすために、過剰に仕事や酒にのめり込む場合もあります。

悲しみの体験を他者と分かち合うことで活力を取り戻す人もいれば、亡くなった人を追い求める気持ちが強く周囲から孤立してしまう人もいます。家族でも、夫婦でも、友人でも同じではありません。

一方で、私たちは亡くなった人がいない中でも何とか毎日を暮らしていこうとしています。生活の中に張り合いを見つけようとしたり、別の人生の目標を作ろうとしたり、新しい人間関係が生まれてきたりもします。

つまり、悲嘆とは悲しみや苦痛が強く、安全な「思い出」として亡くなった人のことを考えることがむずかしく、亡くなった人と無理に距離を取ってしまう、もしくは心理的に始終くっついて離れたくないと思う、など「こころのコントロールが効かない状態」と考えられています。

回復はどのように進むか

悲嘆が強い時期はその人にとってはつらいのですが、基本的には時間が経つにつれ変化していく一つの過程であると言われています。病気等の予期された死別の場合は、次第に日常生活に大きな影響がある苦痛がだんだんに減っていくことが報告されています。

しかし災害や事故、自殺、犯罪など突然の死別の場合は、悲嘆だけでなく亡くなった状況へのショックの感情(PTSDといわれる症状)も加わっていることも多く、そうなると心身ともに安定した状態になるのにはもっと長い期間が必要になってきます。

回復の過程としては、①亡くなった人と自分の関係をもう一度しっかり見直して、自分の中の納得できるストーリーとして作り直していくことと、②生活の中で楽しみや気晴らしになるようなポジティブな目標を見出し実践していくこと、の二つを「能動的に」行う作業であると言われています。
つまり、亡くなった人はもう帰ってこないという事実を受け入れたうえで、その人の思い出をときどき味わうことができることや、その人がいない状態での新しい生き方や役割を見つけること、と言われています。

悲嘆からの回復の過程は人によって違っていて、回復にはその人の持つ内的な力がさまざまに作用しているといわれています。たとえば、聴いてくれる人に話すこと、書くこと、描くこと、音楽を奏でることなどのその人に適した表現方法があります。

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